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ライフログ
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2014年 10月 18日
→本記事は「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」ライブ映像作品について記述しています。ライブ(ビューイング)レポートは個別の記事としましたので、こちらをご覧下さい。 TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation- Live Video / 2013.12.11 1. Opening / 2. Children of the New Century / 3. MISSION PART1 4. IGNITION, SEQUENCE, START / 5. BEYOND THE TIME / 6. Human System 7. Here, There & Everywhere / 8. She was not a human 9. Green days 2013 / 10. A Day In The Girl's Life -CAROL組曲 11. Carol (Carol's Theme I) -CAROL組曲 / 12. In The Forest -CAROL組曲 13. Carol (Carol's Theme II) -CAROL組曲 / 14. The Other Side Of The Future -CAROL組曲 15. Just One Victory / 16. Diner Opening "You can Dance" / 17. Jam Session 18. 一途な恋 / 19. DIVE INTO YOUR BODY 20. COME ON EVERYBODY + Come on Let's Dance / 21. Be Together 22. Get Wild / 23. Dawn Valley / 24. RESISTANCE / 25. Love Train 26. Ending "Fool On The Planet" [SPECIAL] ・I am (2013.7.21) ・Tetsuya Komuro Movie Commentary [Blu-ray初回盤のみ] ・「TM NETWORK CONCERT -Incubation Period-」発売記念スペシャルイベント@渋谷公会堂 [Blu-ray初回盤のみ] ・・・ 2012年4月。 かつてない大災害から一年が過ぎ、未だ疲弊の色が消えることのない東京に、 3人の潜伏者は、2年後の世界から現れた。 人間たちに重要なメッセージを伝えるべく。 そんなコンセプトで行われた「Incubation Period」から一年。 TMが次なるライブ開催を発表し、再び動きを見せようとしていた。 しかし、小室はかねてよりC型肝炎の療養中。 更に、ウツの膵臓に腫瘍が見つかり、緊急手術。 静養のために、ライブの開催が延期となった。 当初の予定は5月24・25日、それが7月20・21日の開催となった。 タイトルは「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」。 意味深といえば陳腐だが、終わりを匂わせるネーミング、手法は 他のバンドも最近よくやっている。 音楽業界の先行きが不透明、というよりお先真っ暗であることが 影響しているのだろうか。 LUNA SEAが「The End of the Dream」というライブを行った。 このタイトルは結局新曲のタイトルだったが、 それを収録したアルバムも『A WILL』(=遺言)だった。 黒夢も20周年のアルバム『黒と影』リリースの際に、 清春が「最後のアルバム」「最後の武道館」「最後のロングツアー」と、 何かと「最後」と発言している。 LUNA SEAはまだ継続の意思はありそうだが、 黒夢は清春という気まぐれな人がやっている以上予測がつかない。 なんせわざわざ「kuroyume the end」というライブをやって 長く活動停止していた黒夢を正式に解散させたにもかかわらず、 翌年に再始動宣言を出して、現在に至っているのだから。 TMに関してもこの30周年プロジェクトをもって ひとまずの「Period」を打つのでは、というより ひとまずの「Period」を予感させるタイトルでファンを釣っているのでは という声が随所で聞かれている。 その真相、その結末は……2015年4月20日が来るまで、分からない。 開催地は、TMとしては初となるさいたまスーパーアリーナ。 前回同様、パブリックビューイングも行われたが、 実施映画館の数は前回よりも減少していた。 私も、この機会だからと見に行った。 当初は見る予定ではなかったのだけれど……。 会場限定CDにつられて……しかもあの曲が入るって……。 (以下、2015.11.25記) ……ということで、当初このエントリーには、 その際のライブレポートをDVD/Blu-rayの記事に代えてUPしていました。 しかし、翌年のTMのツアーに参加し、そのレポートをこのブログにUPし、 更に後になって発売された同じツアーのビデオを観て、 会場で観た時には気付かなかったことが多くあったため、 ライブレポとは別にそのビデオの記事もエントリーしました。 (ここではタイトルは明記しません、この後の物語だから……) となると、この「START~」についても、 ライブレポとは別に作品記事があったほうがいいんじゃないかと考え、 このエントリーを作品紹介の記事として書き直し、 ライブレポは別エントリーとしてUPし直すことにしました。 但し、いずれも旧記事扱いとします(ライブレポもUPの日付は同じとします)。 ・・・ 「TM NETWORKが宇宙の果ての惑星から 地球を訪れたのは1984年だった。 その目的は、潜伏者となり 地球上のさまざまや文化や さまざまな営みを調査し メインブレインへ報告するためである。 その任期は30年。 2012年 東京。 3人の新たな潜伏者が送り込まれた。 彼らは、正式に任務を引き継ぐまでの3年間 さまざまな時代やさまざまな場所で 訓練を繰り返している。 一方、残り任期が1年となった TM NETWORKは・・・ あれから1年。 潜入者である彼らは 姿を消していたが・・・ 一九五〇年 アメリカ 斜陽の田舎町」 虫たちの鳴き声をバックに、こんな粗筋のテロップが画面下に表示される。 背景に映っている夜の風景は、その斜陽の田舎町とやらなのだろう。 生い茂る草木、一輪の花、古びた公衆電話、沼と思しき水溜まり…… その水溜まりには粗筋のテロップと同じタイミングで ステージのモニターに表示される字幕が反射して映り込む。 (前述のテロップはモニターに出る字幕と同じもの) 尚、ステージを上から映した映像では、 シンセブースで動く人影を確認出来るが、おそらく岩佐氏だ。 雷鳴のような音と共に、突如差し込む青白い光。 ミステリアスなBGMと共に、タイトルロゴが表示される。 「TM NETWORK FINAL MISSION -START investigation-」 光の色がセピア色に変わり、スモークが立ち込める。 薄汚れた服を着た3人の青年が倒れこんでいる。 体格の良い黒人男性(Ricky Cabral Jr.)、 細面の白人男性(Mattis Mussault)、 そしてアジア系の顔立ちの女性(紀元由有)。 彼らこそ、TMの後を継ぐ新たなる潜伏者(Incubation Persons)、 IP-type04である(ライブパンフレットによるとそういうことらしい)。 以下、登場人物は上記の()内の役者の名前で呼ぶことにする。 エンドロールに出てくる名前をいちいち検索したが、 8名までは確認が出来た(紀元、Mattisは「Incubation Period」にも出演)。 確認出来ていない役者については、失礼ながら推定として呼ぶことにする。 (確認出来たら訂正していきます……) 起き上がった3人は、「ここはどこわたしはだれ」とでも言わんばかりに 困惑しながら辺りを見回す。 何かを調べるように沼の水に触れる紀元。 そこへ、木の蔭から現れた、サングラスをかけた白服の男(木根尚登)。 ライトをかざして周囲を見回りしている。 駅員っぽい帽子を被っているが、この辺の駅の駅員だろうか。 まぁこの暗い中グラサンかけて勤務はしないと思うけど。 木根の登場に客席から喝采が上がるが、 このシーンではあくまで「現地の人間」の役であるので、 ここでは別人として、「木根」とは呼ばないことにする。 新人IPの3人は、何やら打ち合わせをしているところに白服の男と鉢合わせる。 「誰かいたらとりあえず親しげに接触してみようぜ」とでも話していたのか、 それとも自分たちの先輩によく似た人だったからか、 3人は白服の男に寄ってくる。 今回のコンサートグッズの中に「HELLO」と書かれたタオルがあったが、 設定では(うろ覚えだが)、新人IPたちはメインブレインから 「HELLO」という言葉を教えられていたとかじゃなかったろうか。 おそらく、誰かに接する際にはまず「HELLO」と挨拶しなさい、 とでも仕込まれていたのだろう。 「あいさつすると、ともだちふえるね。」という、 これぞぽぽぽぽ~んの精神である。 しかし、それはかえって裏目に出た。 何処の馬の骨とも分からん連中に馴れ馴れしく近寄られ、 白服男は逆に警戒心を強めたのだ。 「ハロー」 「ハロー」 「ハローハロー?」 「なっなんだお前ら!?」 「いや、えっと、ハロー、ハロー」 「ぬぅ、怪しい奴らめ、名を名乗れ!!」 「私たち、怪しいものではありまセーン」 「えぇい曲者!!であえ~であえ~!!」 尚、上記の台詞は実際には無く、あくまでイメージである(以下同様)。 白服男はホイッスルを響かせる(アテフリ)。 紀元がなんとか説得しようとするも聞く耳持たない白服男。 Mattis、上手側の階段を下りてステージの下へ。 (ステージには上手側に階段、下手側にスロープがある) ステージ下で公衆電話を発見したMattisは、 初めて見たのだろう、「何だこれ?」という表情で受話器を取る。 そして傍にメモ書きでもあったのを見たのか、 ダイヤルを回して911(エマージェンシーコール)をかけてしまう。 (ステージ上のスクリーンに「911」と表示される) サイレンが鳴り響き、不穏な空気が増す。 何が何やら分からぬまま、3人は木の蔭に引っ込んでしまう。 一方、怪しい連中から解放された白服男は警戒を続ける。 そこへ、背後から何者かが……! それはコールを受け駆けつけたと思しき、2人の保安官(シェリフ)だった。 こちらも白人(Baptiste Marien)、黒人(Robert Ellis)がいる。 「ムッ何奴!?……あぁおまわりさん」 「大丈夫か、一体どうしたね」 「いや実はその、おかしな3人組が……」 「おかしな3人組?ティーエムエヌとかいう奴らか?」 「いやそれは……」 「違う?ならズッコケ三人組か?何処にいる?」 「多分まだこの辺にいるはずなんですが……」 白服男、シェリフたちと共にステージ下へ降りて行く。 サーチライトをかざしながら捜索する。 ここでBGMが緊迫感を持つベースラインに変わり、 あの 「Children of the New Century」じゃないか!!!! TMのライブでは随分と長らく演奏されていない曲である。 オリジナルよりテンポを落とした、10年代EDM仕様。 但し今回はボーカルさんがまだ登場しておらず、インストである。 この時使われた音源を基に再録CD化されたのが、 「Children of the New Century -FINAL MISSION-」となる。 (1年8ヶ月後のライブ会場にて限定販売されたCDに収録。 同ライブではボーカル入りで披露されたが、アレンジはオリジナルに近い) 「おい、誰もおらんじゃないか」 「いや確かにいたんですよ!!汚らしい身なりの連中が……」 「こんな暗い中グラサンなんかするから、何かと見間違えたんじゃないのか?」 「そんなはずは……ってほらいた!!あっち!!!!」 「何ッ!!??」 ステージ上にライトをかざすと、そこにはIP3人組が。 身を隠していた木蔭から出てきた彼らは、 「安心して、僕らは敵じゃない」とでも言いたげなポーズをとるが、 シェリフたちは3人に詰め寄る。 警棒を構えるBaptiste、銃を3人に向けるRobert。 「お前ら、そこに直れ!抵抗したら撃つぞ!!」 「えぇ〜なんでこの人たち言うこと聞いてくれないの……?」 「どうするよ?TMさんたちにSOSを出すか?」 その時、何処からともなく轟音が鳴り響く。 ステージ下中央にある、木造のボロボロの扉が開き、 そこから現れたのは一両の鉄道車両だった……おや? 車両には「TM NETWORK」の最新ロゴ(当時)が。 そう、この車両こそが、今回のタイムマシンなのである。 「おい、助けが来たぞ……!!」 「なんじゃこりゃあ!!こんな汽車見たこともねぇ」 「おい、一旦退却だ!!」 安堵する3人のIPと、謎の車両に驚き引き上げるシェリフたち。 そしていつの間にかいなくなった白服男(着替えのために引っ込んだのでしょう)。 インスト版「Children〜」が終わり、微かな轟音だけが響く。 ヘッドライトから光を放ったまま佇む電車型タイムマシン。 しばらくすると次のBGMが始まる。 アルペジオの続くフレーズから、 隠れ名キネバラ「クリストファー」っぽいと一部で囁かれたが、 これは小室作の「MISSION PART1」という曲であるとされており、 小室ソロの配信アルバム『DEBF EDM 2013 SUMMER』に収録されている。 タイムマシンのボディの前面がパカッと左右に開く。 まばゆい光を背に現れたのは、白い服を纏いグラサンをかけた小室。 喝采を浴びながら、小室はグラサンを取って公衆電話のボックスに置き、 背に羽織るマントを脱ぎながら、上手階段を上ってシンセブースへ。 今回のシンセブースにはiMacが置いてあるが、 何でも最新のソフトシンセを使用するらしい。 続いて、タイムマシンから現れたのは、スーツ姿の男(Justin)。 何か黒いケースを背負っているが……形状からして、銃火器だろう。 彼は外の様子を窺うと、タイムマシンから出て来ないもう一人を連れ出す。 Justinに手を引かれて現れたのは、何処かで見覚えのある、 花柄ワンピにグリーンのビスチェの少女(Mia Marino、ここではミアと呼ぶ)。 ライブのパンフレットに書かれた粗筋によれば、 タイムマシンには、潜伏者のみならず、 他の様々な時代から連れて来た人間たちも乗っているという。 彼らを違う時代に連れて行き、そこで彼らがどういった反応を示すのか、 そういったことを調査するのもTMの任務らしい。 「おいで。大丈夫、俺についていれば安心だから」等と言い聞かせたのだろう、 Justinはミアを引き連れ下手側へ歩き出すが、 ミアはJustinの手を離れ、一人で上手側へ駆け出す。 階段を駆け上がり、舞い踊るように木の蔭へと姿を消したミア。 Justinは「全く、何処へ行きたいのやら……」と一人で下手へと去っていく。 不穏なオルガンの音と共に、タイムマシンのハッチが閉じていった。 静寂にしばし包まれた後、次の曲が始まる。 これがまた意外や意外な選曲、「IGNITION, SEQUENCE, START」である。 一度閉じたハッチが再び開き、そこに現れたのはギターを持った木根。 先程似たような人物が出てきたような気がしないでもないが、 グラサンが違うので多分別の人でしょう!← というか、今まで見たことのないグラサンをかけている。 木根は下手スロープを颯爽と駆け上がり、ポジションについた。 今回の「IGNITION〜」、演奏は「MTR」以来だろうが、アレンジがカッコいい。 曲構成はオリジナルと変わらないが、バスドラが強調されたダンス仕様。 個人的に「Children〜」とこの曲だけでも元が取れてしまう(大袈裟か)。 惜しむらくは……ここに至ってまだボーカルさんが登場しないことであろうか。 つまり、この曲も結局インストで披露されたのである。 そのためか、6分以上あるこの曲は4分半程度に収められている。 サビ部分でウツの「Ignition, sequence, start〜」や 木根&葛Gの「We are ready to fight」等のコーラスが サンプリングで再現されているが、これはウツの生声が欲しかった。 ウツの体調が万全ならばボーカル入りになっていたのだろうが、 この曲も「Children〜」のように後々リベンジして欲しかったと思う。 そのウツが登場するのは、いよいよこの後。 小室が次曲の導入部となるフレーズをメロトロンっぽい音源で弾く。 木根はギターをエレキからアコギに持ち替えている。 「BEYOND THE TIME」である。 タイムマシンの上部からせり上がってきたウツ。 大きな歓声は上がったものの、 大手術からの生還後ゲッソリと痩せての登場である。 ちょうど14年前にTMが再始動し、 妙に膨張したウツにギョッとした人が多かったと聞くが、 それ以降殆ど見られなかったこのゲッソリ感、 これまたギョッとした人、不安になった人も多かったのではないか。 そして、声。よく聴くと、結構弱々しいのである。 ツイッターでも「まだまだお腹痛いです」と言っており、 本調子にはなかなか戻れずにいたのであろう。 歌の最後のファルセットも殆ど声は出ていなかった。 ともあれ、これで遂にTM NETWORKの3人が揃った。 ここまでウツがなかなか現れないTMのライブは前代未聞ではないか。 前回「Incubation Period」では各々カラーの異なる衣装で登場したが、 今回は3人とも白で統一。 デザインも全く同じで、着脱可能なマントも付いている。 ステージ上にブルーの照明が降り注ぐ。 次の曲は「Human System」。 「Incubation Period」と同じく、 『CLASSIX』バージョンのリズムを取り入れている。 しかしまた結局ド定番な路線でいくのか。しかもミドルテンポ。 とはいっても、今後2015年までの間にこの曲が披露されるのは これが最後になってしまうのだけれども……。 (「BEYOND THE TIME」も次のホールツアーで最後) 続く「Here, There & Everywhere」は、 「Incubation Period」で演っていない曲。 但しこれもミドルテンポである。 やはりこの辺はウツの体調を考慮してのものなのか。 それとも元々こういうセットリストだったのかも知れないけど。 尚、キーは半音下げになっている。 歌詞中に「アルテミス」が登場するが、アルテミスは月の女神である。 (「IGNITION〜」にも同じく月の女神として「ディアス」が登場するが、正しくは「ディアナ」だと思う。ちなみにアルテミスと同一とされる) その月の女神が見守るかの如く、次のシーンでは空に満月が浮かび上がる。 ウツ木根が退場し、小室がシンセブースに残る。 若干スウィング感のあるリズムが展開されていく。 何か「KISS YOU」のアレンジ版でもやるのかと思ったが、 ここからはまた寸劇が始まるのであった。 満月が浮かぶ夜、彼らはまたも追われていた。 「おおーいTMさんたち何しに来たんだよ結局!!」 「歌うだけ歌って帰っちまったじゃねーか!!」 「えぇい何をごちゃごちゃと、神妙にお縄を頂戴しろい!!」 「だからなんで話を聞いてくれないの!?私たちは……」 あれから日が変わったのか、 3人のIPたちは汚れた服からカジュアルな服に着替えていた。 追手から逃れるため、そしてこの町の人々の信用を得るためであろう。 しかし例のシェリフ2人組は、執拗に彼らを追い、銃を向け続けていた。 黒人シェリフRobertが、Mattisに銃を突き付ける。 先輩IPの小室は特に手も貸さず、この緊迫した状況をシンセで演出。 Mattis、隙を見て銃を振り払う。 この騒動を物陰に隠れ見ていたのが、スーツ姿のJustin。 シェリフの手から逃げ惑う紀元は、Justinの存在に気付いたようだ。 Justinはライフルを構え、紀元に向け発砲した。 放たれた銃弾は、紀元の胸に命中……。 その場の者たちは、突然の出来事に狼狽し退却してしまう。 銃弾を受け倒れ込んだ紀元。しかし…………。 彼女はふらりと起き上がり、虚ろな目でその場を立ち去った。 曲のタイトルは「She was not a human」……。 タイトルは「I am」の歌詞を参照したものであろうが、つまりはそういうこと。 IPたちは、人間とは違う生命体なのだ。 暗転したステージを、緑色の光が包む。 ステージにはいつの間にかウツと木根が戻っていた。 二人ともマントは脱いでいる。 ウツ「We hope... Green days.」 ウツの言葉通り、次に披露されたのは「Green days 2013」。 ある意味、今回の目玉ともいえる曲である。 9年前、20周年の武道館2DAYS「DOUBLE-DECADE TOUR FINAL」にて 新曲として「GREEN DAYS」が披露されたが、 同ライブのDVDに収録されたのみで、CD化されることはなかった。 それが今回、会場限定CDという形で待望のリリースとなったのである。 (たまアリ、ライブビューイング実施映画館にて販売された) リリースはライブ開催の数日前になって告知されたが、 その際には「絶対やるよねこの曲」と思っていた。 緑溢れるステージセットからも「もしかしてこの曲が今回のライブの核?」 等と考えたりもしたのだが、そこは違うようだ……。 歌詞に変更はないようだが、 「2013」とある通り「DOUBLE-DECADE」版からアレンジが変わり、 音数が減り、スローテンポになっている。 当然ながら、このアレンジの初聴きは実際のライブにおいてである。 (買ったばかりのCDを聴ける状況じゃないから) 正直、「DOUBLE-DECADE」版のほうがポップさがあり好きだったが、 「2013」もこれはこれでアリだと思う。 ただCDで聴くと、ギターが無い等音数が少ないためか物足りない面はある。 後の『DRESS2』のように、ライブで使用する音源をCD化したのだろう。 (これは先の「MISSION PART1」も同様) この「Green days」の曲中にも、寸劇がある。 1番が終わり間奏に入ると、タイムマシンのハッチが開く。 現れたのは、眼鏡に白髭の老紳士(Manfred Hiltl)と、 その妻だろうか、車椅子に座った老婆(Alla Okamoto)、 そしてタイムマシンの乗組員と思しき制服姿の青年(Matti Ahrens)。 Allaはしゃんとした身なりだが、表情を一寸たりとも変えない。 病気か事故で、重度の障害を背負ってしまったのだろう。 Matti(先程のMattisと名前が似ているので注意)の手助けを借り、 タイムマシンの外に出た老夫婦。 Manfredは感慨深げな身振りをする。 先述の通り設定では、他の時代から連れて来られた人間たちもいるという。 彼らは、1950年にこの田舎町で若かりし日を過ごした人々だろうか。 「ご覧、婆さんや。我々が暮らしていた町だぞ」 「ご老人、あまり時間もありませんので……奥様は私がお連れします」 「おぉ、すまんな……」 MattiはAllaの車椅子を押し、下手スロープでステージへ。 後ろをついて行くManfredは、途中で一輪の花を摘み、 その香りを嗅ぎ「おぉこれだこれだ」というような身振りをする。 Allaの好きな花なのかも知れない。 一行、汗をかきながら演奏中の木根の傍に立つ。 「パスポート、よろしいでしょうか」 「おぉ、そうだった。ちょっと待っとくれ……」 Mattiに耳打ちされ、ManfredはパスポートをMattiに見せる。 このパスポート、今回のグッズのひとつ「永遠のパスポート」である。 Mattiはパスポートを確認して印鑑を押し、Manfredに返すと、 「お気をつけて」とその場を立ち去った。 Manfredは先程摘んだ花を、Allaの目の前に差し出した。 「ご覧、お前の好きな花だぞ」とでも語りかけているのだろう。 そしてAllaの手に花を持たせ、そのまま車椅子を押して上手の木陰へ。 こんなシーンが展開されている間に、曲はアウトロへ。 ハッチを閉じたタイムマシンは、一旦トンネルの奥へ引っ込む。 曲が終わり、ウツ木根も退場する。 老婆の登場は、後述のように「クリストファー」の歌詞に登場する、 「冷蔵庫に入ってた」とか勘違いをされる「セピアの老婆」を参照したらしいが、 その意図は分からない。 私事だが、ある事情により、この曲とこのシーンに目頭が緩んだ。 一度封印されかかったが、9年の時を経て復活した「GREEN DAYS」。 次のアルバムへの収録(出来ればギター等も追加して)も期待していたが、 残念ながらアルバム未収録のままとなってしまった。 逆に、次の一連の組曲の再録版が収録されてしまったけども。 場内暗転、あの聴き慣れたイントロが……! しかしどうにも、嫌な予感は拭い去れなかった。 ステージに登場したのが、水色のシャツを来た黒人だったからだ。 「シィ……ハズァパウァ。 シィ……ハズァ、マァジック。」 シィィ……ハズァ、グレィス。」 シィ、ハーズ、ァ、グローリィ。」 おぉいお兄さんがそのナレーションやんのかよ!!!! このナレーションと言えばあの禍々しいエフェクターボイスだが、 大袈裟な身振りで朗々と観客に語りかけるRobert(黒人シェリフ役)。 彼のナレーションが終わると、入れ替わりでステージ両脇に2人の女性が。 小室ブースの傍に立つ金髪女性、どう見てもウィッグを着けた紀元だ。 その反対、下手側に立っているのは白人女性(Yana Kazanova)。 これまでの寸劇には一度も登場していない人である。 彼女らが「らーらーららーらーらー♪」とあのコーラスを歌い出したのだ。 いや、マイクがないので、厳密に言うと口パクなんだけども。 「A Day In The Girl's Life」のイントロが終わり、本編に入っていくと、 MattisとRicky(IP役)も登場し、女性2人と共に歌い出す(当然口パク)。 そしてスーツ姿だったJustinが、「ワイルドだぜぇ」っぽい格好で登場。 歌いながら(無論口パク)小室ブースの傍に、持ってきた椅子を置いて座る。 嗚呼。嫌な予感が当たってしまいましたね。 この曲をやるということは「CAROL」組曲をやるということだし、 しかもウツが出て来ないということは、 ここから10分以上はウツボーカル無しなのだろう。 尚、歌詞は全て英語であり、 おそらく1996年の小室ソロライブ「tk-trap」に準拠するものと思われる。 冒頭のナレーションはRobertがマイクを持っていたので生声だろうが、 歌に入ってからはマイク等何処にも見当たらないので、全て口パクと考えられる。 ウツの体調さえ良ければ、ウツが歌っていたのだろう。 しかしこの事前録音の歌声、口パクしている本人たちのものなんだろうか? サビに入ると、紀元ら4人が椅子と机を運んでくる。 いつの間にやら、黒いシャツを着たBaptiste(白人シェリフ役)も合流。 Robertが下手から再登場し、2番から歌い出す(えぇ口パクですとも)。 それと共に木根も登場、アクターたちと親しげにコンタクトを取る。 椅子に腰掛け、持っていた英字の新聞を広げる。 Justinと紀元、後ろから木根の新聞を覗き込む。 「ワオ!見てこの記事」 「えぇウソ!マジで?すっご〜い!!」 (う〜ん……英語ばっかで何書いてんのかよく分かんねぇな……) 先程までは新人IPたちの動向を描いていたが、 この「CAROL」パートは、TMの3人の任務遂行状況を表しているのだろう。 つまり、彼らは「FINAL MISSION」の途中なのである。 また、アクターたちは、服装がこれまでと異なることや、 紀元がブロンドのウィッグを着けていることから見て、 皆これまでの寸劇とは別の役柄を演じている。 この田舎町の現地民なのか、それともタイムマシンで現れた別時代の人々か。 和気藹々としていた彼らは、「A Day〜」の曲の終わりがけで、 新聞を読み続ける木根をよそに列をなしてグルグルと歩き回る。 そこへ、ミアが紛れ込んできた。彼女だけ先程と同じ衣装である。 ミアは単独行動をしているうちにここに現れたのだろうが、 疲れている様子で、椅子に座ると眠り込んでしまった。 ここで流れる「Carol I」は、まるで子守歌のような響きだ。 新聞を読んでいた木根は、ミアの存在にふと気付いた。 (この娘は……何処かで見たような……) そんな木根のざーとらしいといえばざーとらしい表情と、 眠り込んでいるミアとが、交互に映し出される。 「Then she will wake up」のところで、ミアは目を覚まし立ち上がる。 動き回るミアを追う木根、木根の存在に目もくれないミア。 木根はミアが座っていた椅子に腰掛け、何かを思い出したように呟く。 「キャロル…………!!」 そう、ミアの役柄はあのキャロルなのだ。 彼女の衣装も、かつてパニーラが演じたキャロルとほぼ同じ(顔は全然違う)。 何故、キャロルがこの時代に現れたのか。彼女は何者なのか。 その辺は後々のライブ等で明かされる 正体が分かったところで、ミアは「また来るね♪」とでも言いたげな顔で、 青年たちに見守られながら木蔭に姿を消した。 そんな様子を、小室もシンセブースから見守っていた。 次は木根曲2曲をすっ飛ばして、「In The Forest」である。 尚、今回のライブ、ここまで木根曲が1曲も登場していない。 小室作とされる「MISSION PART1」で、 「クリストファー」のフレーズが借用されている気がしないでもないが。 「なんで俺の曲がないんだ……」と俯く(違)木根のもとに、 Allaがコーヒーカップとソーサーを持って現れる。 さっきは車椅子に座っていたはずのAllaが五体満足で元気そうなのは、 やはり先の老婆とは別人という設定なのだろう。 「お疲れでしょう、コーヒーでもいかがです?」 「おぉ、こりゃどうも!」 「あらら、熱いですよ、気をつけて!」 このカップ、メーカーは何処だろうとか気にするのは僕だけでいい。 木根は椅子に座り直し、カップの中のコーヒー(推定)をぐいっと飲む。 しかし木根のカップの扱いからして、中には何も入っていないのだろう。 つまりエア飲みである。 アクターたちは曲に合わせて手拍子なりリズムをとるなりしている。 紀元が木根の傍に座り、笑顔で話しかける。 さて、ここで紀元さんが木根さんに言った言葉は次のうちどれでしょう? 1.「楽しんで!」 2.「楽しいね!」 3.「ゆっくりしていってね!」 4.「あなたって玄人志向の人そっくり!」 ……何故日本語なんだろうという疑問は置いといて、多分1か2のどっちかだ。 Aメロで歌(口パク)を担当するのは赤いシャツを着たMatti(乗組員役)。 BメロではJustinが主に口パク。老人Manfredも合流している。 サビではMattiとMattisという名前のよく似た2人が交代で口パク。 木根はカップの中のものを飲み終えたのか(元々空だろうが)、 立ち上がってカップを片付けに下手へ引っ込んだ。 2番AメロはRicky、Bメロは再びJustin、サビは複数名で口パク……って、 一体誰の何のライブなのか分からなくなってきた。 尚、この辺のシーンでセット後ろにいる松尾氏の姿がチラッと見える。 「Carol II」に入ると、冒頭のキャロルの台詞をYanaが口パクする。 木根がオートハープを持ってエア演奏。 近年、ギター等はエアではないことも実証されている木根だが、 さすがにオートハープは弾けないのだろう(ていうか曲で使ってない)。 ミアも再登場し、ステージ中央で踊り出す。この辺彼女の本領発揮だろうか。 上手の木蔭から、ウツが現れた。 (あれ……これ誰のライブだっけ……) そのゲッソリ感のせいで物凄く虚ろな感じがするウツ、 駆け寄ってきたミアに手を引かれ、椅子に座る。 というか、本当にキツそうなんだよねこのウツ。 (弾けない)オートハープを片付けた木根がステージに戻り、 変拍子パートに入ると、スクリーンには様々な写真が映し出される。 『CAROL』のキーワードの一つであるビッグベンをはじめ、 工場の煙突、スタジアム、雑多な人波、荒野…… おそらく潜伏者たちがこれまで調査してきた人類の歩みが、 次から次へとフラッシュバックしているのだろう。 それらをじっと眺めるウツ木根とアクターたち。 突然、音が途切れる。耳に手を当て狼狽するアクターたち。 音が戻ると、暗転していたスクリーンに再び情報の洪水が。 しかしまた音が途切れ、人々は狼狽する。 この時はスクリーンにも耳を押さえ苦悩する人の姿が見える。 この部分は、『CAROL』の「音が聴こえなくなる」という設定を反映している。 変拍子パートが終わる。 音が戻ってきたのを確認するかのように、スピーカーの前に跪くミア。 口パクを再開するアクターたち。 木根も何かを悟ったかのように一緒に口パク。 ウツはただただ呆然としている。 「Carol II」が終わると、ファンファーレのような曲が流れ始める。 木根が下手奥に引っ込み、ウツも下手の端に移動。 木根はライブのロゴが入った優勝旗のようなものを持ってステージ中央へ。 そしてその旗をJustinに手渡す。 Justin、ステージ上を駆け回り、ぐるんぐるんと旗を振りかざす。 ステージ中央に集うアクターたち。 何と言っているかは分からないが、何かを叫んでいる紀元。 途中、呆然としたままのウツの横顔が、我々の「?」を代弁するかのようだ。 (何これ……どーゆー展開……????) ジャケット上、この曲は「The Other Side Of The Future」と タイトルが付き、「CAROL」組曲の一部という扱いとなっている。 このシーンが一体何を意味しているのか、全くもって読めないのだが、 当然次にあの勝利の凱歌を演奏するのだろうから、 その前フリとして勝利の証を授与するシーンを入れているのだろう。 しかし、彼らは何に対して勝利したのか。 そもそもここでのアクターたちがどういう立場なのかも合わせて考えると、 彼らはTMに連れて来られた別時代の人間たちか、もしくは他の新人IPたちか。 彼らが1950年のアメリカの辺鄙な所に連れて来られ、 この場での困難に打ち勝つことが出来た、とかそういうことなのか。 或いは、この時代の現地の人々とTMとの友好の証が交わされたのか。 まぁあんまりよく分かりませんね。← 小室がファンファーレを奏で終え、しばしの静寂の中、ウツと向き合うミア。 そしてあのイントロが始まると、ミアはウツに駆け寄りステージ中央へ導く。 木根は既にエレアコを抱え搔き鳴らしている。 紀元がマイクスタンドをステージ中央に置き、アクターたちはステージを去る。 ウツ、気力を取り戻したかのようにパフォーマンス。 「Just One Victory」、ウツのボーカルで演奏。 (途中の「Chase In Labyrinth」でやっと木根曲が登場することになる) 以上、オリジナルになかったパートも追加された「CAROL」組曲。 (ジャケット上は除かれている「Just〜」も含む) 実はここで『CAROL』を登場させたことが、 翌年の次作アルバムと小室の著作のキーにもなっているとか。 続いて、「きこえる~ね~インットロダックション♪」とでも言わんばかりに 「You can Dance」のイントロが聞こえてくる。 が、残念ながらSEでしたー。 イントロ前半部と間奏の「ユキャnダンs♪」のコーラスのみ。 そんなBGMと共に、草木を押しのけるように前方にせり出してきたのは、 「Diner」とロゴ看板のあるブース。つまり、食堂である。 (まぁさっきからチラチラ見えてはいたんだけど) その食堂にはサポメンが、下手より葛G、Ruy君、松尾氏と並んでいる。 そう、彼らは先程からここに隠れて演奏していたのだ。 Ruy君は「Incubation Period」に引き続き登場。 松尾氏は久保こーじが率いていたNo!Galersのギタリストで、 以前より小室ファミリーのサポートを務めていたが、TMへの参加は初めて? 葛Gはおそらく9年振りのTMのステージではないか。 2007年の「SPIN OFF from TM」には参加していたが、 完全体TMへの参加は「DOUBLE-DECADE」以来である。 (あんまり完全体と言えるようなコンディションではないが) 「Incubation Period」では、サポメンの存在感があまりにも薄かったが、 今回は葛GというTMN期の功労者がいることもあってか、 サポメンも(途中からだが)前に出てきている。 しかし葛G、まだその音符が入ってるギターのストラップ使ってるのね。 (「ラスグル」でウツが使ってたのと同じ感じ) ウツ、葛Gのそばのテーブル席に移動。 ちなみに、長々と立っていることが出来なかったのだろうか、 この食堂ブースが出てくる間も椅子に座っていた。 ギターを唸らせる葛G、それに合わせブルースハープを吹く木根。 よく見ると、Mattisも先程の普段着に着替えて席に着いている。 ウツはYana扮するアンミラ風ウェイトレスに「1つ!」と注文。 調子を合わせたところで、Ruy君のカウントで演奏が始まる。 本作では、木根と葛Gとの共作曲として「Jam Session」となっている。 途中から小室も演奏に加わる。 この時の歪んだピアノの音源がブルースっぽさを引き立たせている。 Yanaがウツのテーブルにドリンクの入ったタンブラーを届ける。 そんなYanaのキュートなウェイトレス姿(いや可愛いと思いますよ)を横目で見ながら、 ウツはドリンクを一すすり。 ここはもう、ボーカルの休憩時間をも演出に使ってしまうという発想だろう。 しかしこの飲物は一体何なのであろうか?本物のお酒なわけねぇよなぁ。 思いっきり振って泡立てた爽健美茶か何かだったりして。 ちなみにだが、ウツのテーブルの上にあるバスケットにはマイクが置いてある。 木根、ブルースハープを吹きながらMattis、小室、葛Gと掛け合い。 ウツ、葛Gにドリンクを飲ませる。思わずこぼしそうになる葛G。 木根がジャンプし、曲の締め。 ふっと思ったが、葛Gってやっぱ北九州人の顔してんなぁ~、等と。 にこやかな表情でマイクをスタンドに差し込みギターを受け取る木根。 聴き慣れないシーケンスの音が流れる。 んん?新曲か?と思っていたら…… 「毎日のリズムたち」「動き出してる」 「都会のかげろう」「ゆらめく人波」 「一秒おきに」「変わる夢楽しむ」 「天使の笑顔たち♪」 あれっ。「一途な恋」じゃん!!?? 「ウツが二人いないと歌えない」と言われるほど Aメロがギチギチに詰まって息継ぎ不可のこの曲、 ウツと木根のスイッチボーカルによって問題が解決されたのである。 (ただ、木根の声はCD音源と重ねてある?) キーが半音下げになっているが、 シングルカットから20年、ずっと演奏されなかったこの曲が、 発売20周年記念という訳ではなかろうが、遂に演奏された。 まさに歌詞通りの「歴史的瞬間」である。 イントロで既にMattisに合流し席に着いていたRicky、 「こりゃあノれるじゃねぇか!!」と言いたげな身振り。 サビに入ると、ウツは椅子から立ち上がりステージ前方へ。 紀元も男2人に合流しハイタッチ、Yanaへ注文する。 と、「一途な恋」1番が終わったところで演奏はリズムだけを残しブレイク。 Ruy君のドラムフィルに続いて、別の曲を予感させるシーケンスが。 あるぇー、「一途な恋」フルで聴きたかったぞぉー。 ちなみにこのブースの後方にはモニターが掲げてあり、 そこに筆記体の英字が映っているのだが、 これらは「Ichizu na Koi」等、演奏曲のタイトルである。 (「You can Dance」の時にも出ていた。 「Jam Session」の時はTMの当時のロゴが表示) またもう一つ、このビデオに関して気付いたことであるが、 イントロ部分で小室の横顔がアップになる。 このビデオは2DAYSの初日(7月20日)の模様を収めてあるとされるが、 僕がライブビューイングで観て覚えている限り、 この小室の横顔は二日目(7月21日)のものではないだろうか? 二日目の「一途な恋」で、ウツが歌い出しのタイミングを間違えそうになり、 それを小室が睨んでいるように見えたのである(違うとは思うけど)。 音源は初日だろうが、映像は両日のものをミックスしてあるのかも知れない。 「一途な恋」、ご存知の通りTMN終了の前年の曲であるが、 次はTMNリニューアル前年の曲「DIVE INTO YOUR BODY」、3番から。 ウツの体調による対策なのか、ここはメドレーゾーンである。 そしてこの「DIVE〜」、久々の演奏である。 おそらく「Log-on to 21st Century」以来13年振りではないか。 ここでのにこやかな紀元が印象的である。 小室のシンセによるブリッジをはさみ、あのオケヒット。 「COME ON EVERYBODY」である。 サビの木根のコーラスの頑張りようが……。 新人IPたちはいつの間にか席を外しており、 その代わり、先程ウツが座っていた席にJustinが座っている。 こちらも1番が終わるとそのまま間奏→オーラスへ入っていく。 そのオーラス部分ではミアがJustinのもとに駆けつけ、 再会を喜び合うように肩を組む。 ちゃんとJustinとミアにもドリンクは届けられており、 まだ未成年であろうミアがそれを飲んでいる辺りこれは酒じゃねぇな……。 オーラスサビが1回終わると、「Incubation Period」同様、 オーラス途中で「Come on Let's Dance」のイントロ+サビが入り、 その後「〜EVERYBODY」のサビに戻る。 曲の終わりがけで、Justinとミアは下手へ去り、 Yanaは退屈そうにテーブルに頬杖を突く。 再び小室によるブリッジ。幾分か次の曲が想像出来る。 次の曲は「Be Together」。ほぼオリジナルに近いアレンジだが、 イントロは松尾氏のリフが大きく目立つ。 一旦演奏がブレイクし、ウツが観客に向け一言。 ウツ「ただいまデース!!」 この日、最も印象に刻まれた一言ではないだろうか。 一度5月下旬の開催が決定していたこのライブが、 自らの大病によって、この日に延期になった。 手術・静養をし、尚体調が万全ではない中、準備を続けていただろう。 そして、この日を迎えた。 二日目、どの時点でだったか、「待ってたぞー!!」の声も聞こえた。 (尚、二日目のウツの言葉は「皆に会えて嬉しいです!!」だった) 「Be Together」は間奏のあのフレーズから始まり、2番をカットして演奏。 ウツ、歌い出しで木根の傍に寄ってデュエットするように歌う。 この時の木根、完全に歌に徹している。 サビ手前では勿論ウツ木根がターンを決める。 が、その後ウツがよろけ気味になるのが遠巻きに分かる。 テーブルにはIP3人がいつの間にか戻ってきており、 この「TMの手を一時離れたTMの代表曲」で大盛り上がり。 メドレーのコーナーはここまで。 小室がマウスを操作しながらシンセを弾く(多分ソフトシンセだろう)。 10年代EDMのシーケンスと共に、 あの「ジャジャジャジャ!」のサンプリングが聴こえてくる。 そしてあのイントロに入ると、 食堂内のモニターでは、TMロゴが「Get Wild」の文字に切り替わる。 またしても、新たなるバージョンが登場してしまった。 この時使用された音源も『DEBF EDM 2013 SUMMER』に収録。 ボーカルはこのライブのものが使われているそうだが、 1番のA・Bメロが省略された形になっている。 このバージョンの完全体・発展形が、翌年の『DRESS2』バージョンである。 代表曲が終わり、食堂ブースは奥へと引っ込んでいく。 突如、鳴り響くライフルの発砲音。 兵士姿のBaptiste、Robertが、IPたちを狙っている。 「食堂におかしな奴らがいる」とでも通報を受けたのか。 YanaやManfred、ミアが逃げ惑う。 MattisやRobertは女性たちを守ろうとする。 Justinもライフルを構えて参戦する。 森の中へと逃げ隠れるMattis、Ricky、紀元。 シェリフ役になったMattiが無線機で連絡を取る。 騒動は収束し、「もう大丈夫だ」と兵士たち。 逃げ回っていた人々は安堵し、兵士たちと握手。 その様子を窺っていた紀元、恨めしそうな表情で木蔭から出る。 そして…………………… ズド――――――――ン!!!!!!!! 突然の爆発に驚き戸惑う人々。パンフによれば、 「古い価値観に縛られた人々が、IPを受け入れようとしなかった」 とのことで、そのことに対する怒り、悔しさなのだろう。 このシーンでのBGMは「Dawn Valley」であった。 オリジナルではピアノとフリューゲルホルンによる穏やかな曲だったのに、 今回はシーケンスとメロトロンっぽい音で不穏な空気を産み出した。 同じメロディで、ここまで雰囲気が変わるもんなんだな。 「Dawn Valley」は、『humansystem』に収録されているが、 このアルバムでは「Dawn~」の前に「RESISTANCE」がある。 意図してかも知れないが、ここではその曲順が逆転する形になっている。 自分たちを受け入れない人間たちに対し、 やり切れない想いを抱えた新人IPへの叱咤激励のような「RESISTANCE」、 この曲もまた長らくライブで披露されていなかったようだ。 ちなみに「RESISTANCE」は初日のみの披露で、 二日目には(厳密な意味での)最新曲である「I am」が演奏された。 二日間通してのセットリストの違いはここだけである。 また、2012年からの一連のライブの中で「I am」がなかったのは、 リリース前に出演したイベント「ALL THAT LOVE」と、 この「START~」の初日のみである。 本ビデオでは、「I am」はスペシャル映像として収録されている。 アレンジはオリジナルとは異なる「2013」バージョンである。 先述のライブ会場限定CDに、「Green days」のカップリングとして、 「I am 2013」のタイトルで収録されている(後に『DRESS2』にも収録)。 但し、CD音源と異なるのは、イントロが一旦ブレイクする点。 以降のライブでも、アレンジを少しずつ変えながら この「2013」バージョンを基調としたアレンジで披露されている。 そして今回の最後を飾るのは「Love Train」。 今回のタイムマシンが電車型であることにも絡んでの曲だろう。 しかし、これもフルバージョンではなく2番がカットされ、 かといってショートバージョンと呼ぶにも尺は長めで、 イントロやオーラスを引き延ばしてある。 その引き延ばされたイントロの中で、 電車型タイムマシンがステージ下に再登場する。 このライブ以降、「Love Train」はセットリストから外れるが、 TMで最も多く売り上げたシングル曲が、 この一連の30周年シリーズで不完全な形でしか演奏されなかったのは 皮肉である(「Incubation Period」でもトラブルの演出が入った)。 物語は、数多くの「?」を残したままエンディングへ。 「Fool On The Planet」のイントロのフレーズが繰り返される。 (シーケンスのみとはいえやっと木根バラの登場であるが、 ブックレットには「MUSIC: TETSUYA KOMURO」とクレジットが……) 小室、ウツ、木根がステージ中央に並ぶ。 アクターたち(IP3名を除く)もステージに再登場。 ManfredはAllaの乗る車椅子を押して、Yanaはウェイトレス姿で、 Mattiは乗組員、BaptisteとRobertはシェリフの姿で、 Justinはスーツ姿でミアと共に立つ。 しばし、観客たちのいる目の前の眺めた後、 小室とウツは上手階段を、木根は下手スロープを降りる。 ミアが引き止めるように手を差し出すが、 ウツはそんなミアにアイコンタクトを投げかけ、階段を降りて行った。 ステージ下の、タイムマシンの前に並ぶ3人。 ハッチが開き、3人は観客からの声援に手を振り応え、 タイムマシンに乗り込んでいった。 ゆっくりと閉じていくハッチが、尚も観客に応える3人の姿を隠していった。 クラクションが鳴り響き、タイムマシンがトンネルの奥へ去る。 眩い光に包まれるステージ。 残されたサポメンとアクターたちも、次々ステージを後にしていった。 しかし何故TMは、他時代の人たちを1950年に残していくのだろうか?? 画面が暗転し、「To be continued」の文字。 スタッフロールの後、「This is TM NETWORK」の文字が浮かび上がる。 (以上、2015.11.25記) ・・・ DVD及びBlu-rayに収録されたのは7月20日がメインとなっており、 二日間唯一の違いである21日の「I am」はスペシャルとして収録されている。 DVDに入っているのは本当にライブ映像だけだが、 Blu-ray初回限定盤は特殊装丁の上、オマケ映像が2つもある。 一つは「Tetsuya Komuro Movie Commentary」であり、 「分かりにくい!!」と言われまくった今回のライブの設定を 小室と徹貫とで解説していくというものである。 今回は「Incubation Period」を終え、帰っている(2014年へ?)途中で、 1950年アメリカにいる3人の後継者からSOSを受け、 タイムマシンを電車型にトランスフォームさせて出現したというもの。 後継者の一人(Mattis)が電話で発進した「911」が、そのSOSの信号らしい。 その他にも、 ・小室はストーリーに殆ど干渉せず、透明人間的立場で後継者たちを見守る役 ・序盤でタイムマシンから出てくる女の子(ミア)がキャロルで、彼女も潜伏者 ・車椅子の老婆(Alla)は「クリストファー」の歌詞の「セピアの老婆」を参照 ・「Carol II」の変拍子パートで音が途切れるシーンは、 『CAROL』での「何者かに音が盗まれる」という設定の再現 ・『CAROL』の物語の真相を、来年から明かしていく予定 ・「Just One Victory」はスポーツのテーマ曲で誰か使ってくれないだろうか ・「Diner」はアメリカの片田舎の象徴 ・ジャムセッションの締めに絡んで、小室は「ジャン!」という一般的な締めが、 ドヤ顔を決めているみたいで好きじゃないとのこと ・葛Gの出で立ちについて、こんな人もアメリカにいるんじゃないか ・「Get Wild」はリリース以降生き物のように進化し続けている ・潜伏者と人々との軋轢の原因は、大元は最初に登場した見張り(木根)にある ・「Resistance」と「I am」は「これから50年以上の間色んなことがあるよ!」 というメッセージ ・最後の「Fool On The Planet」のリフは、 「Incubation Period」の初日1曲目へと繋がるようにしたもの ……といった説明がなされているが、 言葉を選んでいるというより、話しながら設定を考えているような口調なので、 結局話を聞いてもなんだかわかったよーなわからんよーな そんな気分にさせられる人も多かろう。 もう一つは、前年8月26日、 渋公にて行われた「Incubation Period」発売記念イベントの模様である。 今回収められたのは、 ウツ木根曰く「紙芝居みたいにして見せてもらった」という 小室によるイメージスケッチやセットリスト案等を 3人で紹介していくトークセッションのみ、7分半程度。 さすがに「Incubation Period」別編集版や、新曲公開シーンは収録されていない。 尚、小室と木根の間にいる人はあの偽ベートーベンではない。 (ウツですよ、ウツ・・・) まずは、「I am」の手書き歌詞メモが登場。 木根が「歌詞は歌詞カードに書いたほうが」とか言い出す。 一瞬首を縦に振りたくなる気もするが、よくよく考えるとおかしい。 次に登場したのが、「I am」のジャケットイラストの元絵。 小室が「夢の中で見たものを描いた」という。 ステージセットも夢に見たのだそうで、その絵も公開。 ステージに立つ3人の姿も小さく描かれている。 木根「夢にちゃんと僕も出てきてくれたんですね!w これが坂崎さんだったらマズかったww」 小室「そっくり置き替えることも出来ますねww」 木根「オイッッッ!!!!www」 坂崎さんだったらアコギがより目立っていたことだろう。 上空に母船を浮かせたかったが、母船からの「予算」の都合上断念したという。 尚、坂崎氏ついでに、アルフィーも実は1988年に 似たようなコンセプトでライブを行ったことがある。 (ツアー「Time Spirit」は地球外でライブをやるという設定。 野外での夏イベント「ALL OVER JAPAN ACCESS 4 AREAS」では 会場にアルフィーの宇宙船が出現するというものだった) そしてセットリスト案。「10 YEARS AFTER」「TIME TO COUNT DOWN」も 当初曲目に挙がっていたようだ。 そして、「TM」の文字の巨大なオブジェに3人が導かれていく姿。 3人の姿はシルエットで書かれてあり、 木根曰く「なんでここにムックがいるのかなと思ったw」。 最後に、今後の活動について、「定期的に降りてきます」と宣言。 しかしこの後、今回のライブ「START investigation」まで 1年近く間が空いてしまうことになる。 あぁ、そうそう。もう一つオマケがあった。mu-mo予約者特典CD。 これは本当にオマケである。 本ビデオに収録された「Get Wild」「I am」のライブ音源を そのままCDに落として収録している。 えぇ、このセコい特典に憤慨した人、数知れず。 ・・・ こうして、度重なる難局を乗り越え、3人は今一度タイムマシンへ帰還。 そして、その中で行われていたのは……? そのタイムマシン内の様子が描かれているのが、 渋公にて新曲として公開されていた30周年シングル「LOUD」のPVである。 そのPVに繋がる物語が、次回ライブツアーにて公開された。 「the beginning of the end」、終わりの始まり。 彼ら潜伏者たちの最終目的は、一体何なのか。 「TM NETWORK 30th FROM 1984」、その物語は、始まったばかり。 ・・・
by inako0131
| 2014-10-18 17:55
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